研究課題/領域番号 |
11680549
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
神谷 研二 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60116564)
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研究分担者 |
井倉 毅 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70335686)
隅井 雅晴 広島大学, 医学部, 助手 (60284220)
増田 雄司 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (30273866)
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キーワード | 放射線 / 肝癌 / 遺伝子損傷 / 遺伝子発現 / 誤りがちなDNA修復 / translesion DNA合成 / REV1 / 突然変異 |
研究概要 |
放射線誘発B6C3F1マウス肝癌における遺伝子変異を解析する目的で、放射線誘発肝癌細胞株で高発現するmRNAをdifferential display法により解析し、新規遺伝子マウスA141-36のクローニングに成功した。同時に、そのヒトの相同遺伝子であるヒトA141-36もクローニングした。マウスA141-36は約3900bpの塩基配列からなり、544個のアミノ酸をコードしていた。この遺伝子の組織発現はubiquitousであったが、特に胸腺、卵巣、子宮で強く発現していた。マウスA141-36遺伝子は、マウス肝癌の9例中7例(78%)で発現が増加していた。また、軟寒天培地でコロニー形成能が高いマウス肝癌細胞株でこの遺伝子の発現が増加していた。従って、マウスA141-36の発現は、肝癌の発症と関係する可能性がある。マウスA141-36のヒト相同遺伝子は、約2500bpの塩基配列からなり748個のアミノ酸をコードしていた。この遺伝子の組織発現は、精巣で強く発現していたが、他の組織では殆ど発現を認めなかった。この遺伝子は、ヒト原発性肝癌では5例中5例で発現増加していた他、慢性骨髄性白血病細胞株、大腸癌細胞株や前立腺癌細胞株などでも発現増加を認めた。これらの事より、ヒトA141-36の発現増加は、肝癌やその他の悪性腫瘍においても発症と関係する可能性が考えられた。免疫組織学的解析の結果、この遺伝子産物は核に存在することが判明した。一方、放射線発がんでは、自然突然変異がその発症に重要な役割をなすと考えられる。大腸菌での解析から、この突然変異の発生は、「誤りがちなDNA修復」に関与するumuC, umuD遺伝子などによって制御されている事が示されている。我々は、酵母で同様な機能を担うREV1遺伝子と相同性を有するヒトとマウスの遺伝子(hREV1,mRev1)のクローニングに成功た。放射線で誘発される突然変異と遺伝的不安定性の分子機構を解析する目的の一助としてこの遺伝子の機能解析を行った。その結果、ヒトとマウスのREV1タンパク質はDNAポリメラーゼの活性を持たず、dCMPをプライマーの3'端に特異的に挿入する活性を有した。REV1タンパク質のdCMP転移活性とDNA結合活性は、損傷乗り越え型のDNAポリメラーゼに保存された領域にあることが示された。さらに、マウスRev1遺伝子は、γ線照射により誘導されることが分かった。
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