11年度は、主にこれまで実施された意思決定プロセスを類型化し、他国と比較しながらわが国のプロセスの特性を分析するとともに、立地が決定し既に操業している地域の周辺に居住する住民を対象に質問紙調査を行った。 具体的には、要綱等の独自制度による廃棄物の扱い、決定プロセスのタイプ、住民の合意レベルなどの点から、わが国の意思決定システムの概要を把握し、既に実施していた北米地域における意思決定システムとの比較を通じて、わが国のシステムの特徴や今後の課題を整理した。 また、住民投票によって建設の是非を問うた宮城県白石市の住民に対して10年度に行っていた質問紙調査の解析を進めるとともに、ヒアリング調査によって結果を補完した。 この事例と対照するため、処分場の建設が実施された地域に対してヒアリング調査、および質問紙調査を実施した。ヒアリングを行ったのは、岩手県江刺市と新潟県出雲崎町である。いずれも、公共関与型の処分場が既に完成しているが、江刺市の事例は完成後かなりの年月が経過していたため、より詳細な調査を出雲崎町の事例に対して実施した。町役場や計画当時に活動していた住民団体の代表らに対してヒアリング調査を実施した後、選挙人名簿から500名を抽出し、質問紙調査を実施した。質問紙の内容は、白石市で実施したものと比較できるように設計したが、一部の内容は、出雲崎町の事例の特性に即して変更した。郵送による配布回収の結果、4割5分程度の回収率が得られた。
|