研究概要 |
本研究では、土壌に空気を導入するときに生成する気液界面積を,空気の流れている部分の界面と,停滞している部分の界面を区別して測定し,それが気液置換履歴によってどのように変化するかを検討している.本年度は,不活性ガストレーサーを用いて気相の流れている部分と停滞している部分の容積を測定する方法を確立した.すなわち,気液界面積の測定に先立って,土壌サンプルへのガスの流通系,毛管圧力の調整法,トレーサー濃度測定法を確立し,さらに空気の流れている部分と停滞している部分の界面積の分別に必要な基礎データを得たことになる.具体的には以下の成果が得られている. 有効径2ミクロンのステンレス多孔質体カラム両端にフランジを介してガス流路を接続し,ガラスビーズを充填し,恒温水槽中に設置した.カラムに,マスフローコントローラーにより窒素ガスを供給する.カラム入口にて一定量のヘリウムを注入し,その出口での濃度変化より,カラム内のトレーサーの平均滞留時間を求めた.気相圧力をニードルバルブで調整し,ほぼ一定の毛管圧下で,流量を変化させて平均滞留時間の変化を調べた.理論上は流量を無限大に外挿したときの平均滞留時×流量が空気の流れている部分の容積を,流量をゼロに外挿したのときの平均滞留時間×流量が空気の流れている部分と停滞している部分を合わせた容積を示すと考えられるが,実験の結果,main imbibition,main drainage過程における空気の流れている部分と停滞している部分の容積の算出に成功した. 基本的にはトレーサーを界面トレーサー(ヘプタンなど)に変更することで,界面積も同様に測定できるが,本年度よりひと桁小さい線流速が必要であることが分かったため,現在,断面積の大きいサンプルカラムを設計中である.新しいサンプルカラムが完成次第,界面積の測定実験を開始する.
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