研究概要 |
ピロロイミノキノン型海洋アルカロイドはDNAトポイソメラーゼ阻害を作用機序とする抗腫瘍活性を示し、新規抗がん剤開発のためのリード化合物として注目を集めている。ピロロイミノキノン骨格の構築法は種々報告されているが、ピロロイミノキノン骨格への位置選択的な官能基導入法は確立されていない。筆者らは、すでにピロロイミノキノン骨格の新規構築法の開発とそれを応用したmakaluvamineA,D,I,Kの全合成を報告している。今回、makaluvamine合成における鍵中間体から容易に誘導される5-Boc-TIPS-7-methoxy-1,3,4,5-tetrahydropyrrolo[4,3,2-de]quinolineの位置選択的リチオ化反応を検討し、ピロロイミノキノン骨格6位への官能基導入法の開発に成功した。さらにこの反応を活用し、6位にp-ヒドロキシベンジル基を有する海洋アルカロイドvciutamineの最初の全合成に成功した。さらに、5-Boc-7-methoxy-1-methyl-1,3,4,5-tetrahydropyrrolo[4,3,2-de]quinolineの6位および2位選択的リチオ化反応の開発にも成功し、これらの位置に多様な置換基を有する誘導体の合成に成功した。これらの手法は、ピロロイミノキノン型海洋アルカロイドの多様な誘導体の供給が可能とし、詳細な構造活性相関研究を通じて実用的な抗がん剤の創成にも結びつくものと期待される。
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