本年度はまず、シャトル合成の本質とも言えるFluorous Chemistryの鍵化合物になる高度にフッ素化された保護基の開発を行った。アシル型保護基の代表であるベンゾイル基の誘導体を合成することとし、種々入手が容易な誘導体を原料に糖の水酸基への導入や脱保護を検討した。しかし、高度にフッ素化された誘導体の性質が特徴的で、その合成・扱いに苦慮して来た。ようやく、数種類の誘導体の性質を評価できるようになったが、実質的には次年度に繰り越す形となった。 一方、シャトル合成を含む一連の固相合成をモニターする方法として蛍光性保護基を用いる方法を併せて検討した。ダンシルβアラニンをアセチル基の誘導体と見なし、その導入と脱保護を検討した。その結果、糖鎖の固相合成をモニターできる方法の一つとして、有望であることがわかった。 こうした経験を基に次年度はシャトル合成の可能性を評価できる段階へ進める予定である。
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