研究概要 |
1 CET1温度感受性変異体の分離とmutational analysis CET1の遺伝子破壊株SK1(MATa ade2 ura3 his3 trp1 leu2 can1 Δcet1::LEU2 YEpCET1[CET1,URA3])を作成した。CET1を含むプラスミドに変異誘発剤を作用させ、CET1上に変異を導入した後、プラスミドシャッフリング法を行って変異Cet1のみをSK1内で発現させた。こうして得られたコロニーを、25℃と37℃でそれぞれ培養し、25℃では生育できるが37℃では生育できなくなった温度感受性変異体(ts変異体)を21株分離した。現在、これら変異体についてDNAシークエンスを行っている段階であり、これまでに7種類の変異体が見つかっている。このうちcet1^<ts>-1;G527D,cet1^<ts>-2;S419L,cet1^<ts>-3;T396I/T400Iは、TPase活性に必要な領域にアミノ酸変異が入っておりTPase活性への影響が考えられる。またcet1^<ts>-4;R242Kは、Ceg1-Cet1相互作用に必要な領域に入ったアミノ酸変異で、Ceg1-Cet1相互作用が酵母の生育にとって重要であることを示している。 2 酵母細胞を用いたin vitro転写系の確立 酵母BJ926株を材料に用いて培養条件と破砕条件を検討した結果、これまでより簡便な方法で全細胞抽出液(WCE)を調製できた。このWCEは、転写活性化因子を添加することなしに、α-アマニチンに感受性のある鋳型DNA由来の転写産物を与えた。このWCEは、比較的安定に長期保存できることから、転写反応の生化学的解析やキャッピング酵素の各種変異体の機能解析に適するものと考えられる。現在、転写産物の5'末端構造、キャッピング酵素と転写系の相互作用について解析を進めている。
|