次のことが明らかになった。 1)フィブロネクチンの反接着部位を含むペプチドIII14-2には、細胞内のfocal adhesion kinaseを始めとする接着斑タンパクのチロシンリン酸化を低下させる作用がある。 2)ペプチドIII14-2の反接着作用はコレラ毒素あるいはフォルスコリンやdibutylyl cAMPによってブロックされたが、PKA阻害剤によっては何等影響を受けなかった。 以上の結果は、フィブロネクチンの反接着部位の作用が何等かの受容体を介した細胞内情報伝達系を介して作用を発現している、との我々の推測を更に指示するものである。そこで、この受容体のcDNAクローニングを容易にするため、受容体に対するモノクローナル抗体の作製を実施した。その結果、ビオチン化ペプチドIII14-2と特異的に結合する55-kDaの細胞膜タンパクを認識するモノクローナル抗体(3E12)の調整に成功した。現在、このモノクローナル抗体を用いて、反接着受容体のcDNAの発現クローニングを実施すべく準備を行っている。
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