次のことが明らかになった。 1)フィブロネクチン由来の活性ペプチドFNIII14に対して反接着応答を示さない細胞株を検索した。その結果、ヒト大腸癌細胞Colon26M3.1のフィブロネクチンおよびビトロネクチンへの接着は、FNIII14によってほとんど影響を受けないことが示された。そこで、ビオチン化FNIII14を用いたアフィニティー標識法によりFNIII14受容体の検出を行ったところ、FNIII14応答性の細胞膜上に検出される55-kDaタンパク(p55)がColon26M3.1では検出されず、p55の存在とFNIII14に対する反接着応答にはよい相関があることが証明された。 2)p55と結合するモノクローナル抗体を用いてp55の精製を実施し、アミノ末端領域にIgVドメインを持つタンパクであることが明らかになった。現在、cDNAクローニングを続行中である。 3)受容体の実体解明を行っている過程で、ペプチドFNIII14はPDGF刺激によるNIH/3T3細胞の増殖を抑制し、その時、細胞内MAPキナーぜカスケードの活性化を阻害していることが明らかになった。本ペプチドは、インテグリン機能そ低下させることにより、インテグリン関連シグナル全体に多大な影響を及ぼすことが証明された。
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