ゴルジ装置局在タンパク質GCP364/giantin、ヒトGCP170は長いcoiled-coil構造を持っており、これらのタンパク質がゴルジ装置の構造維持に関与している可能性が推測される。 本研究はGCP364/giantinおよびGCP170のゴルジ局在に細胞質ドメインが重要な働きをしている事と、両タンパク質の機能解析の一歩として、GCP364とGCP170それぞれのゴルジ局在に必須な細胞質ドメインの解析およびそれと相互作用を持つタンパク質の検索をおこなった。C末に疎水性膜結合ドメインを持つII型膜蛋白質であるGCP364はその膜ドメインよりもアミノ酸2938-3116の領域がゴルジ局在に強く関与していた。この領域と相互作用を持つタンパク質の検索の結果60kDaの新規ゴルジ体局在タンパク質を見いだし、このタンパク質をGCP60と名付けた。GCP60はそのC末半分にGCP364との結合ドメインを持ち、このドメインを過剰発現すると、ゴルジ体の崩壊が観察された。一方GCP170はhead領域(アミノ酸1〜410)とlodの後半とtailを含む領域(アミノ酸1045〜1498)のそれぞれに本タンパク質をゴルジ装置に局在化させるドメインを見いだした。この2つのドメインはそれぞれ独立にゴルジ装置局在化能をもっていた。head領域の最小のゴルジ装置局在能を持つ領域はアミノ酸159から230であった。この領域をbaitに用いてHeLa細胞のcDNA libraryをスクリーニングした結果、この領域と相互作用を持つ新規ゴルジ局在タンパク質を見いだし解析中である。 以上の結果からゴルジ細胞質側局在coiled-coilタンパク質は他のタンパク質との相互作用によりゴルジ装置をとりまくタンパク質のネットワークを構築し、これは単にゴルジ装置の構造の支えとなっているだけではなく機能的なネットワークを構築していると考えられる。
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