研究概要 |
1.変異PIP5K分子の解析:N端又はC端からの欠失を作成することにより、PIP5Kは中央約380アミノ酸にキナーゼ活性がみとめられ、両端はそれぞれこれを調節する機能を有すると考えられる。これは報告されたPIP4Kの3次元構造の解明結果ともよく一致する。またPIキナーゼ活性のない点突然変異も作成した。 2.PIP5Kの細胞内局在:PIP5Kは多彩な細胞機能を持つPIP2を合成するが、その合成は細胞内で空間的に制御されている。内因性のPIP5Kは発現レベルが低く検出が容易でないが、外因性のPIP5Kは細胞質と細胞膜ともに存在していた。これは細胞分画によるWestern法でも確認された。 3.イノシトールリン脂質生成物:PIP5Kの過剰発現が各種イノシトールリン脂質の量にどのように影響するかを解析するため、細胞より脂質を抽出しPI-4,5-P2以外にPI-5-P、PI-3,5-P2が生成されることが判明した。 4.アクチン重合:重合にはアクチン線維のFree barbed ends濃度上昇が必要であるが、PIP5Kαの過剰発現でぞの上昇が引き起こされ、PIキナーゼ活性のない変異体ではアクチン重合が著しく抑制された。 5.低分子量GTP結合蛋白Racとの相互作用:スロンビン刺激による血小板のアクチン重合の系でRacに変異を導入してPIP5Kとの相互作用をなくすとアクチン重合が抑制された。これらの結果は血小板のスロンビン刺激によるアクチン重合にPIP5Kが重要な因子であることを示す。
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