本研究は新たなるカルシウム情報ネットワークの解明のため、中枢神経における同じカルシウム情報伝達系に存在する異種酵素のクロストーク、神経型一酸化窒素合成酵素(Neuronal nitric oxide synthase:nNOS)のカルモデュリン依存性リン酸化酵素(CaMキナーゼ)群によるリン酸化反応を介した活性制御の解析をリン酸化部位の決定を通して行うものである。本年度は、CaMキナーゼ群によるnNOSのリン酸化において、リン酸化部位の決定とリン酸化nNOSの酵素学的性質の解析を行った。その結果、1、nNOSのSer-847がCaMキナーゼ群によってリン酸化される。2、そのリン酸化によりnNOSの酵素活性が阻害される。3、その阻害は少なくとも部分的にはCaM結合能の低下による。4、リン酸化部位特異抗体の作製に成功し、in vivoに於いても以上のリン酸化が認められることを明らかにした。 本年度に得られた知見に基づいて今後は、CaMキナーゼ群による細胞内でのリン酸化を介したnNOSの活性制御をリン酸化部位特異抗体、酸化窒素分析装置を用いて検討する予定である。
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