研究課題/領域番号 |
11680636
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
稲垣 賢二 岡山大学, 農学部, 助教授 (80184711)
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研究分担者 |
田村 隆 岡山大学, 大学院・自然科学研究, 助手 (40253009)
田中 英彦 岡山大学, 農学部, 教授 (90065912)
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キーワード | シネフンギン / メチル化酵素 / 二次代謝 / プロトプラスト / 突然変異 |
研究概要 |
シネフンギンは放線菌Streptomyces incarnatusが生産するヌクレオシド系抗生物質である。Candida albicansに対する抗真菌活性を示すほか、トリパノゾーマ原虫にも有効でマラリアの特効薬としても期待されている。本研究ではまずシネフンギンの生成を鋭敏に検出するためのアッセイ系の確立を検討した。シネフンギンはS-アデノシル-L-メチオニンと構造がよく似ているためにin vitro系においては各種のメチル化酵素に対して強力な拮抗阻害剤として作用する。このユニークな性質を利用してタイプIIDNAメチラーゼの阻害試験を考案した。これは市販品の修飾酵素によりラムダファージDNAをメチル化する酵素アッセイ法で、反応系に添加された試料中にシネフンギンがあればメチル化は阻害され、対応する制限酵素処理によりDNAは切断される。シネフンギンが無ければラムダDNAはメチル化修飾を受けて制限酵素による切断を免れる。この結果の違いはアガロース電気泳動上で容易に判別できる。多数のサンプルを同時に検定できることも本法のメリットである。S.incarnatusの無細胞抽出液を調製し、本アッセイ法を用いてシネフンギン合成酵素の活性測定を行ったが酵素反応によるシネフンギン生産は検出できなかった。これは酵素が極めて不安定で失活しやすいためか酵素発現量が少ないためか、あるいはその両方が理由として考えられた。そこでシネフンギンを高生産する生産株作製の検討を行なった。シネフンギンはS.incarnatusの生育には直接関与しない二次代謝産物であり、本菌株をスラント培地に保存中に顕著に低下した。そこで本菌をリゾチーム消化してプロトプラストとして生産能が高い株を選抜することにした。プロトプラスト化した後、UV照射を行なって酵素発現量の増大した突然変異株の調製も現在検討中である
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