研究概要 |
リポ酸はビルビン酸、α-ケトグルタル酸、分枝鎖ケト酸脱水素酵素複合体のアシルトランスフェラーゼ及びグリシン開裂酵素系のH蛋白に補欠分子族として結合しいる。動物ではリポ酸がこれらの酵素に結合するには、リポ酸が活性化されlipoyl-AMPとなり、次にリポイル部分がアポ蛋白に転移される。本年度はlipoyl-AMP生成反応を触媒するリポ酸活性化酵素をウシ肝mitochondriaから分離することを試みた。Mitochondriaを超音波で破壊し、105,000xgで遠心した上清をDEAE-Sepharose,hydroxyapatite,Blue-Sepharose,Superdexpg200 column chromatographyを用いて分画し、SDS電気泳動上ほぼ単一に精製した。精製酵素はリポ酸とMgATPからlipoly-AMPを生成する反応を触媒した。反応生成物であるlipoyl-AMPにグリシン開裂酵素系のアポH蛋白と既に分離されているリポ酸転移酵素を加えると、リポ酸がH蛋白に転移され、ホロH蛋白が形成された。リポ酸活性化酵素の活性はlipoyl-AMPをhydroxamateとして測定するとホロH蛋白生成で測定するより約1000倍高く測定されるので、反応機構について更に詳しく検討する必要がある。 一方転移反応については、大腸菌中にウシH蛋白を発現させる場合は、ウシのリポ酸転移酵素ではなく、大腸菌のlipoate-protein ligaseを同時に菌中に過剰発現させると、ホロH蛋白の生成効率が高く、また副反応として起こるオクタノイル化が軽度であることを明らかにした。
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