哺乳動物ではリポ酸活性化酵素(LAE)はリポ酸をlipoyl-nucleotide monophosphateに活性化する。リポ酸部分は次ぎにリポ酸転移酵素の作用でリポ酸依存性蛋白質の特定のリシン残基に転移される。我々はLAEをウシ肝ミトコンドリアから精製した。LAEがリポ酸を活性化する場合、GTPを用いるとATPを用いた場合より活性は1000倍高かった。反応にはリポ酸、GTP、Mg^<2+>を要し反応産物はlipoyl-GMPであった。LAEはR-lipoateもS-lipoateも活性化しlipoyl-GMPを生成したが、R-lipoateがよりよい基質であった。同様にリポ酸転移酵素も活性化されたリポ酸をR型からでもL型からでもapoH-proteinに転移できる。然しR-lipoateを持つH-proteinのみがグリシン開裂反応では活性がある。ミトコンドリアへの転移信号を持つLAE前駆体のcDNAを分離した。LAEのアミノ酸配列はxenobiotic-metabolizing/medium-chain fatty acid:CoA ligase-IIIのアミノ酸配列と一致したが、単一のnucleotide polymorphismによる一アミノ酸残基の置換が認められた。これらの結果はmedium-chain acyl-CoA synthetaseが新しい機能を持ち、GTPを用いてリポ酸を活性化することを示す。
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