研究概要 |
アンチザイム(AZ)の分子多様性を解析し、AZファミリーの機能を検討した。また、AZの細胞内動態を特に分解制御と分解を担う酵素に佳占をあてて解析した。1.ゼブラフィッシュの胚から発現パターンの異なる2種のAZ(AZ-SとAZ-L)とODCならびにAZインヒビターをクローニングした。両AZはいずれもODCを阻害し、阻害はAZインヒビターで回復した。試験管内ではAZ-SのみがODC分解を促進した。また、培養細胞にポリアミン/AZによるODCのフィードバック制御機構の存在を確認した。2.単細胞真核生物である分裂酵母でODCの分解を検討し、スペルミジン添加に応答してプロテアソームによるAZ依存的ODC分解が速やかに惹起されることを明らかにした。3.マウスのAZ2は試験管内ではODC分解を全く促進しないが,HTC細胞に強制発現させるとODC分解促進とポリアミンの取り込み抑制作用を示した。ODC分解作用はAZ1の放出によるのではなく、AZ2の直接作用によることを確認した。AZ1欠損細胞でもODC分解はポリアミンにより蛋白合成依存的に促進され、その際ポリアミンによってAZ2が誘導されることを確認した。また両AZの過剰発現は何れも細胞増殖を抑制することを明らかにした。4.AZ1,2ともにODCと複合体を形成すると細胞質に存在するが、遊離の状態では主として核に存在した。阻害剤を用いた実験から、核の両AZは細胞質に移行したのち、26S プロテアソームにより分解されること、その際、ODCはAZの分解を阻害することがわかった。さらに、AZの試験管内分解系を開発して検討した結果、AZ1,AZ2もユビキチン化されて分解される可能性が示唆された。5.AZ3による試験管内ODC分解の阻害、マウス腎ODCの臓器特異的調節、26S プロテアソームはODC分解に際してAZ1を取り込まないことなどを明らかにした。
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