研究課題/領域番号 |
11680640
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
吉本 昭夫 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60025690)
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研究分担者 |
坂上 茂 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (10201518)
皆川 信子 新潟薬科大学, 薬学部, 講師 (90113026)
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キーワード | シアン耐性呼吸 / Pichia anomala / Hansenula anomala / Alternative oxidase / UAS2配列 / アフリカ睡眠病 / Trypanosoma brucei brucei / アスコフラノン |
研究概要 |
酵母 Pichia anomala(Hansenula anomala)のシアン耐性呼吸を触媒するAlternative oxidase遺伝子の発現に関わる調節機構を解析するため核DNAをクローン化し、ゲノムの解析を行った。H.anomalaのAlternative oxidaseは単一の遺伝子としてコードされている。酵母Saccharomyces cerevisiae のCYC1遺伝子の上流にあるグルコースによる抑制にシスに働くUAS2と呼ばれる配列と類似の配列がH.anomalaのAlternative oxidase遺伝子の上流域にも見つかった。グリセロール、乳酸などを炭素源とした場合に比べ、グルコースを用いるとAlternative oxidaseのmRNAの発現レベルもシアン耐性呼吸の誘導も抑制されることから、この配列が炭素源による発現調節に関与していることが示唆された。UAS2を含むDNAプローブと炭素源を変えて培養した菌体から抽出したタンパク質を用いたゲルシフトアッセイの結果もこのことを支持している。 アフリカ睡眠病病原体のTrypanosoma brucei bruceiではAlternative oxidaseが唯一の末端酸化酵素として機能している。抗生物質アスコフラノンがこの呼吸に強力な阻害作用を示すことを見い出しており、このAlternative oxidaseのcDNAをクローニングして大腸菌で発現させた実験から、アスコフラノンはこのシアン耐性呼吸系のユビキノール酸化部位を阻害することが明らかとなった。 また、シアン耐性呼吸の誘導の初期過程で活性酸素種が誘導の引き金となっていることを報告しているが、細胞内のチオールのレドックスがAlternative oxidase遺伝子の発現に関するメカニズムについても研究を進めている。
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