研究課題/領域番号 |
11680642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究部長 (10201360)
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研究分担者 |
望月 貴年 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (40263933)
早石 修 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (40025507)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | プロスタグランジンD2 / トランスジェニックマウス / 好酸球 / Th2サイトカイン / 肥満細胞 / ノックアウトマウス / 受容体 |
研究概要 |
我々はプロスタグランジン(PG)D2の炎症、アレルギーにおける役割を明らかにするために、ヒトPGD合成酵素(PGDS)cDNAをチキンβ-actinプロモーターの下流に挿入したトランスフアーベクターをFVBマウスの受精卵にマイクロインジェクションを行い、ヒトPGDSを大量発現する独立3系統のトランスジェニック(TG)マウスを作製した。卵白アルブミンで感作したTGマウスに、エアロゾールで肺に抗原(卵白アルブミン)チャレンジを行うと、刺激後6時間をピークとして24時間後まで、肺におけるPGD2産生は野生型に比べ有意に増加した。そして、抗原刺激1日後および3日後のTリンパ球と好酸球の肺への浸潤はTGマウスでは野生型に比べ明らかに亢進していた。さらに肺胞洗浄液中のTh2サイトカイン(IL-4,IL-5)やCCケモカイン(エオタキシン)の増加も冗進していた。逆に、PGD受容体欠損マウスおよびPGDS欠損マウスでは、上記のアレルギー性気管支喘息モデル実験における、肺への好酸球の浸潤や肺胞洗浄液中のTh2サイトカインの上昇が低下していた。以上の結果はPGDS及びPGD2がアレルギー反応の増悪に重要な働きをしていることを示し、肥満細胞の高親和性IgE受容体クロスリンクによって起こるPGD2の放出が即時性反応のみならず遅発性反応においても重要な役割を持つことを示唆している。さらに、遺伝子解析のために行う尾末端の切断に伴う痛覚刺激により、ヒトPGDS-TGマウスでは、刺激後3時間をピークとして5時間に及ぶ、脳内PGD2濃度の上昇を伴う徐波睡眠の選択的な増加が起きることを見出した。この睡眠発作は、肥満細胞増多症患者において報告されている血中PGD2の増加を伴う昏睡発作と極めて類似した現象であり、世界で初めて確立された徐波睡眠の異常モデル動物である。
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