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2000 年度 実績報告書

ヒト・カルシトニンの立体構造転移と線維化の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 11680654
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

曽田 邦嗣  長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10011686)

研究分担者 城所 俊一  長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80195320)
キーワードカルシトニン / α→β構造転移 / 六弗化イソプロパノール / 会合体形成 / アミロイド / 線維化
研究概要

32個のアミノ酸残基からなるペプチド・ホルモンであるヒト・カルシトニン(hCT)は,溶液条件に依存して,β-アミロイド様の会合体を形成すると考えられている。我々のこれまでの研究から,hCTのコンホメーション状態は,溶質濃度と温度をパラメタとして,溶液のpHと六弗化イソプロパノール(HFIP)濃度を変数とする空間で,解鎖,α-へリックス,会合状態の3つの構造相に分けられることが明らかになった。具体的には,円偏光2色性と蛍光スペクトルをプローブとするhCTの立体構造転移とストップトフロー法による動力学的性質の解析から,以下を見出した:
(1)hCTは,HFIP水溶液中で多様な構造状態を示す:pH【less than or equal】4.9,[HFIP]【less than or equal】10%(v/v)ではランダム・コイル(RC)様の解鎖状態,[HFIP]【greater than or equal】10%(v/v)ではα-ヘリックス(αH)状態をとる。pH【greater than or equal】4.9ではHFIPの中間濃度でアミロイド様会合体が現れる。pH7では,[HFIP]【less than or equal】5%(v/v)でRC,5〜15%(v/v)では会合体,【greater than or equal】15%(v/v)では安定な単分子のαH状態をとる。即ち,室温で3つの構造状態相を示す。
相の境界を越えて溶液条件を急変させると,構造状態間での転移過程が観測される:
(2)pH7.0で,hCT濃度をパラメタとして,HFIP濃度をジャンプさせて会合体形成のキネティクスを測定すると,hCT濃度が高いほど,またHFIP濃度が低いほど会合速度が大きくなる。
(3)HFIP添加によるhCTの線維化は,ランダムコイルからのα-へリックスの生成と,それに続く分子間β-シートの形成を経て進行する。線維化におけるHFIPの役割は,HFIPの疎水クラスターがhCTの周囲に形成され,ランダムコイルからα-へリックスに転移する場を提供していると予想される。但し,20%(v/v)以上の高濃度のHFIP添加は,α-ヘリックス構造を安定化して,寧ろ線維化を阻害する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kamatari,Y.O.,Ohji,S.,Konno,T.,Seki,Y.,Soda,K.,Kataoka,M.,and Akasaka,K.: "The compact and expanded denatured conformations of apomyoglobin in the methanol-water solvent"Protein Science. 8・4. 873-882 (1999)

  • [文献書誌] Seki,Y.,Tomizawa,T.,Kidokoro S.and Soda,K.: "Contribution of Solvent Water to the Solution X-ray Scattering Profile of Proteins"Biophysical Chemistry. 93・2. (2001)

  • [文献書誌] Soda K.and Seki,Y.: ""Nonnative structure of proteins and its implications for protein folding", in "Old and New Views of Protein Folding" ed.by Kuwajima,K"Elsevier Science. 10 (1999)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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