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2000 年度 実績報告書

人工膜小胞中におけるアクチン線維系細胞骨格の再構成によるモデル細胞の構築

研究課題

研究課題/領域番号 11680655
研究機関名古屋大学

研究代表者

瀧口 金吾  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20262842)

キーワード人工膜小胞 / アクチン / アクチン結合蛋白質 / 生体膜 / 界面活性剤 / 光学顕微鏡 / 暗視野顕微鏡 / 細胞骨格
研究概要

細胞骨格の1つであるアクチンとアクチン線維架橋蛋白質を同時に封じ込めた人工脂質膜小胞(リポソーム)を作成し、その内部で細胞骨格様構造が再構成される結果生じるリポソームの形態形成を観察し解析した。その結果、生体膜の形態形成と各アクチン線維架橋蛋白質の性質、特にそのアクチンを架橋するときの様式との間に密接な関係があることが明らかになった。
またやはりアクチンの結合蛋白質であるが、逆にアクチン系細胞骨格を脱形成させるのに働いていると考えられているカルシウムイオン依存性調節蛋白質ゲルゾリンをアクチンと共にリポソーム内に封入するための予備研究として、ゲルゾリンのリン酸化による調節制御機構の変化を調べた。リン酸化の結果、ゲルゾリンはカルシウムイオン非依存的にアクチン線維を切断し脱重合できるようになった。
ところで、アクチン結合蛋白質(タリンやエズリン)などの添加によって生じる膜穿孔現象の結果、リポソームがカップ状の形態を取ることがこれまでの研究から明らかにされていたが、今回シミュレーションによってこの形態が力学的に安定なものであることが確かめられた。
今回さらに同様な膜穿孔現象が、陽電荷を持つ界面活性剤を中性または酸性リン脂質から作られたリポソームに加えることや、逆に中性もしくは酸性の界面活性剤を陽電荷を持つ合成脂質を膜中に含むリポソームに加えることによっても生じうることが明らかになった。また陽電荷を持つ界面活性剤を陽電荷を持つリポソームに加えた場合にはリポソーム膜の表裏反転が観察された。これらの結果は、生体膜が潜在的に非常に高い変形能力を持っていることを示している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] TAKIGUCHI Kingo: "Artificial phosphorylation removes gelsolin′s dependence on calcium"Cell Structure and Function. 第25巻. 57-65 (2000)

  • [文献書誌] NOMURA Fumimasa: "Morphological and topological transformations of lipid bilayer vesicles"Statistical Physlcs (M.Tokuyama,H.Stanley 編,American Institute of Physics). 426-434 (2000)

  • [文献書誌] SUEZAKI Yukio: "A theory for the adsorption of protein to liposomal membranes"Statistical Physics (M.Tokuyama,H.Stanley 編,American Institute of Physics). 435-444 (2000)

  • [文献書誌] 滝口金吾: "細胞骨格と膜による細胞モデルの構築"シリーズ・ニューバイオフィジックスII細胞のかたちと運動(宝谷紘一,神谷津 編、共立出版). 第5巻. 47-63 (2000)

  • [文献書誌] 宝谷紘一: "細胞をつくる-人工膜小胞と細胞骨格からなる細胞モデル-"日本機械学会誌. 第103巻. 74-77 (2000)

  • [文献書誌] NOMURA Fumimasa: "Novel capabilities of liposomes for topological transformation"Proceedings of the National Academy of Sciences USA. (発表予定). (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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