ヒト白血病細胞K562にPEG-Cholを投与すると、まず液相エンドサイトーシス次いでクラスリン依存性エンドサイトーシスが低下することを見出した。後者の細胞反応が進むにつれてクラスリン被覆ピットが開口することを見出した。ビオチン標識PEG-Cholも用いて細胞表面膜の外葉と内葉の面積比を定量し、力学モデルを用いて被覆ピットの弾性強度を算出した。その結果、被覆ピットは、脂質2分子層膜より二桁弾性強度が高いことを見出し、ピットの形態変化が膜の小胞化を推進するモデルを得た。次いで、A431細胞を用いて、PEG-Chol作用を解析した。その結果、どう細胞に存在するカベオラはクラスリン被覆ピットに比し5倍小さいストレスで平坦化することを見出した。この細胞膜情報伝達ドメインであるクラスリン被覆ピットとカベオラはその力学的強度が異なることを明らかにするため解析した現象から、この二つのドメインのうちクラスリン被覆ピットだけを機能させることが可能になった。我々はまたエチルイソプロピルアミロリドがクラスリン被覆エンドサイトーシスを誘導して細胞表面から受容体と被覆ピットを消失させることを見出している。この二つを組み合わせることは、細胞生物上の応用価値が高い。最近、GPCRやEGFRがクラスリン被覆ピットとカベオラの両方に存在することが示された。今回の成果は、2つのドメインの情報伝達の質的な違いと細胞機能における意義を明らかにする有力な方法として期待できる。
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