本年度は、ホヤ幼生で信号伝達蛋白質を可視化するにあたって必要となる、目的遺伝子を、目的とする場所で正しく発現させることができるシステムを構築するために以下のことを行った。 1 ホヤで機能することのできる種々のプロモータ配列、転写調節領域を得る。ホヤで既に配列の分かっているものとして、神経特異的に発現するシナプトタグミン、脊索特異的なブラキュリー、尾部筋肉特異的なアクチンの発現調節領域配列、及びその下流にGFP遺伝子をつないだベクターを得た。また、研究代表者等の見出したGタンパク質、HrGn、および、HrGxについてマボヤゲノムライブラリーをスクリーニングして陽性クローンを得た。HrGnについては解析が終わり、上流6kbpの配列を明らかに出来た。また、マボヤの神経系特異的に発現するβチュブリン遺伝子HrTBB2の上流クローンも得ることが出来た。HrGx、HrTBB2の上流クローンについては現在解析中である。 2 プロモータ領域とレポータ遺伝子の融合ベクターを作製し、ホヤ卵に顕微注入して、目的とする部位で発現しているか確かめる。 レポータとしてGFP遺伝子を得られたHrGn5'上流配列の下流につなぎ、融合遺伝子を作成した。これらをホヤ受精卵に顕微注入し、発生過程でGFPの蛍光をモニターすることが出来た。現在の所、上流3.5kbpから800bpがあれば、本来発現の認められた領域で発現することが分かった。また、この発現調節領域はユウレイボヤ卵でも同様に機能することが分かった。
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