研究概要 |
当研究は,HIV-2のヌクレオキャプシド(NC)タンパク質(NCp8:zinc finger motif(ZFM)を2つ含む49アミノ酸残基のペプチド)の機能発現機構を解明し,機能制御をするための基礎データを提供することを目的としている.本年度の主な成果は以下の2点である. 1.N端側ZFMを含む部分ペプチド(NCp8-f1:29残基)のアミノ酸部分置換体の立体構造解析 昨年度の研究の結果,NCp8-f1中のAsn^<11>がRNAを認識するための構造形成に必要不可欠であることを推定した.このことをさらに詳細に解析するために,Asn^<11>をAlaに置換した試料NCp8-f1/N11Aの立体構造解析を行った.その結果,機能発現に重要なlinker領域の立体構造が変化していることがわかった. 2.安定同位体(^<15>N)標識NCp8大量調製法の確立 今後,NCp8およびRNAとNCp8の複合体の立体構造解析を行うためには,窒素核を安定同位体(^<15>N)標識したNCp8が大量に必要である.本年度はこの試料の調製を行った.7リットルの培養を3回行い,粗精製,HPLC精製をおこなった結果,純度95%以上の安定同位体標識した試料約5mgの調製に成功した. 上記研究成果(1)および今後の構造機能相関解明のためには,NCp8とRNAの特異的な結合能を定量的に解析する必要がある.そのため,ゲルシフトアッセイおよびUVクロスリンキング法によるNCp8のRNA結合能解析の実験を開始した.
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