研究課題/領域番号 |
11680665
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 講師 (60265733)
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研究分担者 |
河野 俊之 三菱科学生命科学研究所, 主任研究員
小松 博義 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (30170377)
前田 忠計 北里大学, 理学部, 教授 (90265728)
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キーワード | HIV-2 / ヌクレオキャップシドタンパク質 / NMR / 立体構造解析 / RNA認識 / NCp8 |
研究概要 |
HIVのヌクレオキャプシドタンパク質(NCタンパク質)は宿主細胞内でウイルスRNAに結合し、HIVの粒子形成を導く。量的に非常に多い宿主由来のRNAの中からウイルスRNAを特異的に認識し、結合するメカニズムは未だに不明な点が多い。当研究は、HIV-2のNCタンパク質(NCp8:zincfinger motif(ZFM)を2つ含む49アミノ酸残基のペプチド)の機能発現機構を解明し、HIV-1のNCタンパク質と比較して、NCタシパク質の機能を制御するための基礎データを提供することを目的としている。昨年までにNCp8と同等のRNA認識能をもつ部分ペプチド(NCp8-f1)およびその機能発現に重要な部位(linker領域)の立体構造形成に関与するアミノ酸を置換したNCp8-f1部分アミノ酸置換体(NCp8-f1m)の立体構造解析を終了した。しかし、NCp8のRNA結合能を調べることが出来ないため、機能発現メカニズム解明のための構造機能相関の研究が不可能であった。そこで、本年度はNCp8とRNAの結合能を調べるための方法を確立した。この方法は合成RNAの3'端をDIG(Digoxigenin)標識して、UVクロスリンキングを用いたゲルシフトアッセイ法によりRNA結合能を調べる方法である。RNAにはNCp8が特的に結合すると考えられているHIV-2ゲノムRNAのステムループ3領域(19mer)を用いた。この方法でNCp8-f1とNCp8-f1mのRNA結合能を比較した結果、NCp8の機能の1つであるRNAの2量体形成能に違いがあることがわかった。NCp8-f1とNCp8-f1mの立体構造解析の結果と、両ペプチドのRNA結合様式の違い、さらに他のNCタンパク質との立体構造解析の比較から、ZFMとlinker由領域内の塩基性アミノ酸の配置がRNAとの相互作用に影響を与えていると考えられる。
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