異なるタンパク質の立体構造間に共通に見出される局所構造モチーフを同定し、分類するためにDelaunay四面体を利用する方法を開発しているが、これまでにすでに、次の難点があることが指摘されていた。 (1)取り扱うことのできる局所構造の大きさに制限がある。 (2)サブユニット間の接触部位にある局所構造モチーフには適用できない。 本年度は、これらの指摘に対応するために、次のことを行った。 (1)Delaunay四面体に付けるコード番号を決めるルールを改訂して、複数のサブユニットに属するアミノ酸残基で構成される局所構造にも適用できるようにした。 (2)同じコードをもつ一つの四面体をデータベースから検索するだけでなく、それをスタートに、それに隣接し、しかも同じコード番号をもつ四面体をできる限り探し出すアルゴリズムを新たに考え、実行するためのプログラムを開発した。これによって、より大きな局所構造モチーフを取り扱うことができるようなった。 こうした改良による機能強化をテストするため次のことを行った。 (1)αヘリックスなどの二次構造が作る局所構造モチーフについて、モノマータンパク質あるいは単独のサブユニット内にある場合と、サブユニット間にある場合のアミノ酸の出現頻度の違いを明らかにした。 (2)PROSITEのようなペプチド鎖に沿って定義された配列モチーフを、空間的に隣接する残基からなる局所構造モチーフとして再定義し、解析することが原理的に可能となった。そこで、PROSITEで定義されたいくつかの配列モチーフについて、ペプチド鎖に沿って離れたアミノ酸で、モチーフ構造に重要な役割を果たしているアミノ酸を検出できるかどうかを調べた結果、いくつかの重要な役割を果たすアミノ酸を新たに同定することができた。
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