1.MukFEB蛋白複合体の同定と精製 MukF、MukE蛋白はMukB蛋白のC末球状ドメインに結合して600kDの複合体を形成していた。MukFEB複合体はDNAのメチル化状態に関係なく一本鎖DNAと二本鎖DNAに同じ強さで結合した。またATP加水分解能はDNAに依存しなかった。 MukFEB複合体とMukBの電子顕微鏡による形態観察を行った。MukFEB複合体はMukB単独に比べ明らかに両方の球状ドメインが大きく、MukB部分の球状ドメインを介する高次構造も観察された。 2.SeqA蛋白の細胞内局在 SeqA蛋白は複製直後の半メチル化GATC配列に特異的に結合し、細胞内で数個のクラスターを形成する。細胞周期を同調した細胞で、SeqAクラスターの動きを詳細に観察した。DNA複製開始直後にSeqAクラスターは細胞の中央に1個出現し、その後2個になって、DNA複製が終了する前に反対方向に分離した。また染色体複製開始領域(oriC)は細胞中央で2個になり、しばらく対をなして存在することがわかった。 3.MukB蛋白の細胞内局在 MukBはMukF、MukEがともに存在する時に、SeqAと同じように細胞内で数個のクラスターとして局在した。しかし新生細胞ではSeqAクラスターが細胞中央に1個存在するのとは対照的にMukBクラスターほ細胞の1/4、3/4長の位置に1個ずつ存在していた。その後SeqAクラスターは2つになり、それぞれMukBクラスターの近くに移動した。 4.SeqA蛋白に結合するDNA領域の同定 細胞周期を同調した大腸菌をin vivoで蛋白とDNAのクロスリンクをかけ、SeqA抗体で免疫沈降しSeqAに結合しているDNA領域を同定した。複製フォークの進行に伴い複製開始領域(oriC)から複製終結領域(ter)に向かってSeqAの結合部位が次々と移動していくのが観察できた。
|