研究概要 |
我々は、神経成長円錐フィロポディアのアクチン線維束化蛋白質ファシンの束化活性がカルデスモン、トロポミオシンによって阻害されることを、精製蛋白質の再構成実験により明らかにした(Ishikawa et al.(1998)J.Biol.Chem.273,26991-26997)。今回、トロポミオシンとカルデスモンが突起伸長に及ぼす影響をより生理的に探るため、これらの遺伝子をPC12細胞に遺伝子導入し、突起の伸長を観察した。非導入細胞では1日で平均33.7μm伸長したが、トロポミオシン遺伝子導入細胞では14.6μmしか伸長しなかった。トロポミオシン遺伝子とカルデスモン遺伝子を同時に導入した細胞では、8.0μmとさらに遅くなった。ちなみに、カルデスモン遺伝子を単独で導入した細胞は非導入細胞と同様の伸長を示した(30.3μm)。また、1細胞あたりの神経突起の数も、4.8から2.8(トロポミオシン遺伝子導入細胞)、1.6(両遺伝子導入細胞)に減少した。 現在、トロポミオシン、カルデスモンによる突起伸長の阻害が、ファシンの活性を抑制することによって起こっているか検証中である。
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