ネキシンはカルシウム・リン脂質結合タンパク質である。下等原核生物からヒトまで広く分布するが、細胞内の機能は殆ど知られていない。本研究ではMicroCALI法によって生きた細胞内でアネキシンを一過的に不活性化することで機能解析する。【技術的成果】MicroCALI法セットアップの完成:外部レーザー照射装置のための部品などをオリンパス光学(株)とルミネックス社(株)に注文していたが、完成し組み立てた。抗体のラベル、顕微導入などは以下に述べるように準備が出来ている。組み換え:アネキシンの精製と蛍光ラベル:アネキシン遺伝子をバクテリアで可溶化状態で発現、生化学的に精製した。Alexa蛍光ラベル試薬でラベルした。タンパクの変性を最小限にくい止めるために標識モル比を低く押さえる努力をした。蛍光レベルアネキシンの細胞内導入:ガラスビーズ法による外来性分子導入法を確立した。高速高感度蛍光記録顕微鏡セットアップ:ビデオレートで微弱蛍光の記録にハママツ・ホトニクス社製SITビデオカメラとPhtometrics社製超高感度・高解像力冷却CCDデジタル、さらに制御のためのコンピュータセットアップを完成させた。【学術的成果】蛍光アネキシンの:細胞内動態観察に成功:細胞内のアネキシンは網目状の構造をとり、結合・解離を繰り返し激しく動いていた。仮足の先端に向かう動きが多く、速度は細胞の移動速度(約10μm/min)より速く、ときには60μm/minを超える速度で動くシグナルもあった。アネキシンは仮足先端部の細胞膜に集積する:アネキシンは細胞膜直下にベルト状に集積することがある。ベルトが消失した後、突出が起こる事が確認された。 突出に必要な細胞膜の前駆体にアネキシンが結合している。膜修復への関わり:アネキシンは細胞膜の修復にも関わっている。アネキシンは細胞膜の修復部分に濃縮した。抗アネキシン抗体の導入は細胞膜の修復を阻害したA。アネキシン結合タンパク質の探索:アネキシンは他の蛋白と協同して機能する可能性が高い。免疫沈降を行うと、分子量116kDと87kDの蛋白質がアネキシンと共沈した。west-western blottingによって、これらの蛋白はどちらもアネキシンに直接結合することがわかった。
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