GFP-Apg5を用いて、今まで知られていなかったオートファゴソーム前駆体膜を同定し、それが伸長しオートファゴソームを形成していくことをビデオ観察により世界に先駆け示した。Apg5とApg12の共有結合が、前駆体膜への結合には必要ないが膜の伸長に必須であることを明らかにした。Apg5はApg12以外に63kDa等の複数の蛋白質と約700kDaの巨大な複合体を形成しており、それらの蛋白質を精製できたので現在アミノ酸配列の解析を行っている。 さらに昨年度樹立したApg5遺伝子破壊細胞がオートファジー不能であるばかりではなく、オートファゴソーム膜に結合する別の蛋白質LC3-ll(昨年度報告)を形成できないことが判った。Apg5とLC3に機能的な連関があることが推測される。Apg5はオートファゴソームが完成する前後に膜から離脱するが、LC3-llは留まる。 昨年TGNに分布することを示したBeclinの全量がphosphatidylinositol 3-kinaseと結合していることを明らかにした。Beclinはこの酵素の制御を通して、TGNからオートファゴソーム形成に必要な因子を供給していると思われる。 以上、今まで全く未知であった哺乳類オートファジーの分子機構の一端を明らかにするという大きな成果を得ることが出来た。またApg5-Apg12やLC3-ll等のオートファゴソーム膜に局在する蛋白質を同定したことで、これらをマーカーとして、発生・分化や疾患におけるオートファジーの意義を解明することが可能になった。
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