酵母オートファジーに必須なApg8pのラットホモログであるLC3について、同一遺伝子に由来し分子量が異なる2つのフォームがあることを見いだした。これらは細胞内分布が異なっており、LC3-Iは細胞質にLC3-IIは膜分画に存在した。次いでLC3-IIがオートファゴソーム膜に局在することを確認した。LC3は、前駆体として翻訳された後直ちにC末端22残基が除去されLC3-Iとなる。LC3-Iの一部はさらに修飾を受けLC3-IIに転換される。この転換は、オートファゴソーム形成の増減と良く相関しており、LC3-IIはオートファジーの進行をモニターするプローブとして極めて有用であると考えられる。 Apg5の哺乳類ホモログの遺伝子を破壊したES細胞ではオートファゴソームが形成されないことを示した。この細胞ではLC3-IIも出来ないので、LC3とApg5の機能的連関が考えられる。Apg5は、隔離膜と未知の扁平小胞に分布していた。GFP-Apg5の実時間ビデオ観察により、その小胞から隔離膜が伸長しオートファゴソームが形成されることが示された。Apg5はApg12とユビキチン化に類似した反応により共有結合するが、この反応が隔離膜の成長に必要であることが判明した。またApg5は隔離膜の外側膜に集中して分布していた。 Apg6のホモログBeclinの減少がオートファジー能力の低下と発癌を引き起こすことが他のグループにより報告されているが、Beclinの局在や機能については何も判っていない。我々は、Beclinの全量がクラスIIIのPI 3.kinaseと複合体を形成しており、複合体の約半分がトランスゴルジ網状体に局在することを見いだした。おそらくBeclinはPI 3-kinaseの調節サブユニットとして機能し、ゴルジ体からオートファゴソームの構成成分を供給する経路を制御しているものと思われる。
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