分裂酵母組換えホットスポットade6M26遺伝子座は、ade6遺伝子座上の点突然変異に起因するcAMP-responsive element(CRE)様配列に、MAPキナーゼやAキナーゼの制御下にある転写因子Atf1/Gad7-Pcr1が配列特異的に結合する事で出現する。本年度我々は、この転写因子がCRE様配列に結合した後、直接的に周辺のクロマチンの再編成を引き起こすことを明らかにした。またこのクロマチン再編成が、減数分裂期のade6M26においては転写の活性)化を行わず、組換えの活性化のみを引き起こすことを示した。さらに、M26ホットスポットでのクロマチン再編成が、ストレス応答MAPキナーゼ経路(ヒトSAPK-p38分裂酵母ホモログSpc1)やG蛋白質-cAMPキナーゼ経路、接合型遺伝子座のヘテロ接合性と接合フェロモンシグナル伝達経路(Mei3など)、減数分裂誘起過程の初期遺伝子群(Mei2、Pat1)によって複合的に制御されていることを示した。以上の結果から、組換え活性化が細胞の性分化・ストレス応答のシステムと表裏一体の密接な関係にあることが分子レベルで初めて明らかにされた。
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