扁形動物プラナリアに外来遺伝子を導入する実験系を確立するにあたり、1.プラナリア細胞で機能するプロモーター、ターミネーターの単離、2.レポーター遺伝子(ガラクトシダーゼ、GFP、ルシフェラーゼ等)を使ったベクターの構築、3.導入法の検討、開発、4.導入個体の利用、と段階を踏んで研究を進めた。発現量の多いと考えられるEF1alphaとEF2遺伝子に着目し、現在までに、それぞれプロモーター領域、ターミネーター領域に相当すると考えられる5'-上流、3'-下流域のクローニングをプラナリア ゲノムを鋳型にUniversal PCR法により行なった(1)。いずれの遺伝子のプロモーターに関しても既知の機能配列との類似性は認められなかった。次にこれらの遺伝子の開始メチオニンコドンの直後と終止コドン直前にレポーター遺伝子(ルシフェラーゼ)をフレームをあわせてつなぎ、導入ベクターを構築した(2)。in ovoでの遺伝子導入が理想的ではあるが、プロモーター活性の有無も不明であるため、最初に解離細胞へエレクトロポレーション法による導入を試みた。トリプシン、コラゲナーゼで解離したプラナリア細胞は生理食塩水中で懸濁した状態でベクターと混合し様々な条件で電気パルスを与え1日放置後、遠心回収し、溶解後ルシフェラーゼ活性を測定した。残念ながら、現在までにいずれのベクターにおいても、試みた様々な条件下で再現性のある有為な発現は定められていない。原因として解離細胞の生存率が極めて低いことが考えられた。現在、その生存率を上げる条件を模索すると同時にin ovoでの導入も含めその方法を検討している(3)。
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