研究課題/領域番号 |
11680730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 埼玉医科大学 (2002) 北海道大学 (1999-2001) |
研究代表者 |
永島 雅文 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40241319)
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研究分担者 |
渡辺 雅彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70210945)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | 中枢神経伝導路 / 形態形成 / 軸索誘導 / 成長円錐 / 標的ニューロン / 細胞間相互作用 / 後生的 / 発生神経生物学 |
研究概要 |
<研究成果の概要> 脳の神経回路網は、投射ニューロンの軸索が白質線維束を伸展し、標的ニューロンにシナプスを構築する事で成立する。中枢伝導路の形成時期には、軸索の先端に成長円錐がみられる。幼若なニューロンの分散培養や、切片培養の実験系で、伸長しつつある神経突起を経時的にモニターすると、成長円錐が激しく運動し、周囲の環境条件をかぎわけるような探索行動が再現される。このような現象の機構原理(軸索の行動を規定する因子)として以下の仮説が有力である。一方は「標的細胞が分泌する蛋白の濃度勾配を成長円錐が認識する事によって標的ニューロンへと誘導される」というアイデアであり、拡散性シグナルの存在を想定している。もう一方は「局所の細胞環境に接触することによって成長円錐が進展経路を選択している」という考えであり、膜蛋白の受容体を介する細胞間相互作用を想定している。本研究は中枢伝導路の形態形成をテーマとして、当初は軸索成長円錐の行動に焦点を当てた。しかしその後、発生神経生物学の研究に細胞生物学の方法論が取り入れられ、軸索と同時に樹状突起の形態形成における細胞骨格蛋白の動態が検討されるようになった。具体的には、神経細胞を顕微鏡下で長時間培養する手法、アクチンやチュブリンなどの蛍光標識分子を培養細胞に微量注入する方法、微弱な光を検知する間歇ビデオ顕微鏡などである。本研究では、グルタミン酸トランスポーターを放射状グリアや星状膠細胞系のマーカーとして利用し、小脳皮質のプルキンエ細胞とバーグマングリアとの相互作用が樹吠突起の形成に影響する事を示唆する結果など、グリアとニューロンの接触が神経回路の形態と機能発現に重要な役割を演じている事が明らかとなった。将来は、発生過程を個体で追跡する形態学的研究と、細胞小器官から分子レベルで培養細胞の挙動を検討する細胞生物学が有機的に統合されると予想している。
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