研究課題/領域番号 |
11680738
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井佐原 京子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30303944)
|
研究分担者 |
亀高 諭 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10303950)
|
キーワード | リソソーム / プロテアーゼ / カテプシンB / カテプシンD / 中枢神経系 / ミトコンドリア / セロイド-リポフスチン / ノックアウトマウス |
研究概要 |
リソソームカテプシンBとDとで制御される細胞死の経路を分子レベルで解析するため、リソソームカテプシンDを欠損するマウスを用い、同マウスが痙攣発作と視覚異常を伴うことから、中枢神経系を解析した。その結果、中枢神経系の多くの神経細胞にはリソソーム様構造物、特にオスミウム好性顆粒や指紋様構造を含む封入体が蓄積しており、これらの構造には、自家蛍光を呈し、ミトコンドリアATPsynthaseのsubunit cが蓄積していること、さらにsubunit cを分解するtripeptidyl peptidase-Iの活性が上昇していることから、同欠損マウスの表現型は神経性セロイド-リポフスチン蓄積症と類似し、カテプシンDの遺伝子はこの疾患の原因遺伝子の一つであることが予想された。さらに、視覚異常を伴うことから、同欠損マウスの網膜組織を形態学的に解祈した。生後20日以降の同欠損マウスの網膜組織では、厚さが対照群の半分にまで萎縮しており、外顆粒層の細胞数の顕著な減少が見られ、photoreceptorの内節及び外節もほとんど消失していた。神経節細胞には変化は見られなかった。また、色素上皮細胞を含む全層の細胞の細胞質にリソソーム様構造物が蓄積しており、さらに外顆粒層には、アポトーシスの像を呈した細胞が認められた。そこで、TUNEL染色を生後から各日の網膜組織に施行した。対照群ではTUNEL陽性細胞は、各層とも生後2週までに検出されなくなるのに対して、同欠損マウスでは、外顆粒層の最内側で生後9日前後よりTUNEL陽性細胞が急激に増加し、日齢とともに全層に出現することが判明した。従って、カテプシンDは神経系、特に網膜の外顆粒層の発生分化過程に必須のプロテアーゼであることが明らかとなった。
|