研究課題/領域番号 |
11680743
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
小島 久幸 理化学研究所, 脳皮質機能構造研究チーム, 上級研究員 (00104539)
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研究分担者 |
岸 清 東邦大学, 医学部, 教授 (00014118)
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キーワード | 聴覚 / 大脳皮質 / 1次聴覚野 / 局所結合 / 周波数地図 / 軸索投射 / ネコ / 順行性トレーサー |
研究概要 |
麻酔下ネコに純音を聞かせ大脳皮質を生理学的にマッピングして、蝸牛位置再現周波数地図を描いた後に2種類の順行性トレーサーを、近接する2ケ所の部位に電気泳動的に注入した。順行性のトレーサーはPhaseolus vulgaris leucoagglutinin(PHA-L)とBDA(biotinylated dextran amine)を用い、接線方向に切った切片でそれぞれ紫〜黒および茶色に弁別し、両投射部位の局所的な相互関係を調べた。それぞれの注入部位の大きさは300-500μm程で、一次聴覚野の中心部への注入の場合では、注入部位に由来する軸索側枝はその背側と腹側にパッチ状に分布した。異なる注入部位に由来するパッチ(黒色のパッチと茶色のパッチ)は大脳皮質内で一部重複して分布した。重複する分布は注入部位から離れた部位で形成されたパッチ間で明瞭に認められた。特に背側部位に分布するパッチ間での重複が顕著であった。一方パッチ形成パターンは聴覚野内での注入部位の周波数地図上での位置によっても異なることが今年度の実験で明らかになった。一次聴覚野には周波数地図が前後方向に整然と配列していることを考慮すると、皮質内局所回路網が音周波数に依存性に特異的な結合パターンをとる可能性が考えられる。このことを明らかにするために周波数地図と軸索投射のパターンを対応させる試みを行った。その結果中間周波数表現領域ではパッチが背腹側方向に配向する傾向にあったが、低周波数表現領域では背腹側方向に加え前後方向にもパッチが形成され、ほぼ前後方向に向く等周波数帯にそって投射が形成されるのみならず、それを横切る方向にも投射がおこっていることが示唆された。
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