いわゆるオーファン受容体ストラテジーにより線条体において作用するペプチドを単離するために、数百種のオーファンG蛋白質共役型受容体(GPCR)の中から線条体あるいは線条体に直接投射を持つ領域に分布するオーファンGPCRを形態学的に探索した.in situ hybridization法等のデータを基にさらに特異抗体を作製し免疫組織化学的な解析を行った.その結果、GPR6/3/C、GPR26、GPRJが線条体に分布することが明らかになった.GPR6/3/Cの免疫陽性染色は線条体においてパッチ・マトリックス様を示し、また線条体に関連する淡蒼球、側坐核、嗅結節、黒質、大脳皮質等にも認められた.GPR26は嗅結節、大脳皮質等にも分布した.GPRJは線条体においては特に外側部に斑状に分布した. 探索したオーファンGPCRは従来のオーファン受容体ストラテジーにより細胞内情報伝達シグナルの変動を直接的に測定することは困難なため、次に、これらのオーファンGPCRは他の受容体とへテロ複合体を形成した時にのみリガンドが結合するとの仮定に基づき、これらとへテロ複合体を形成する受容体を探索するための形態学的手法の開発を試みた.その結果、SDS処理凍結割断レプリカ免疫標識法によりいずれもグリアに発現する受容体である代謝型グルタミン酸受容体と水チャンネル受容体がへテロ複合体を形成し機能的にも共役することが証明され、一般にオーファンGPCRのへテロ複合受容体の探索にSDS処理凍結割断レプリカ免疫標識法が有効であることが示唆された.
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