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2000 年度 実績報告書

神経栄養因子ニューロトロフィンのシナプス蛋白の制御とシナプス伝達への作用

研究課題

研究課題/領域番号 11680752
研究機関新潟大学

研究代表者

武井 延之  新潟大学, 脳研究所, 助教授 (70221372)

キーワードニューロトロフィン / BDNF / 神経伝達物質放出 / シナプス可塑性 / グルタミン酸 / PDZ蛋白
研究概要

本研究においで申請者はシナプス伝達に対するニューロトロフィン、特に脳由来神経栄養因子(BDNF)の急性および慢性作用とその分子基盤の解明を目的としてきた。BDNFの作用としては4種類に分類できる(神経進歩2000)。即ち急性作用と慢性作用、それぞれにおける前シナプス作用と後シナプス作用である。以下本研究の成果を各分類ごとに示す。
急性作用
前シナプス作用:BDNFは小脳顆粒細胞の培養系において興奮性アミノ酸伝達物質であるグルタミン酸とアスパラギン酸の放出を引き起こすことを示した(Neurosci,Res.,2000)。
またこの作用機構として、BDNF刺激-PLC活性化-細胞内カルシウム上昇-ナトリウム流入-グルタミン酸輸送体の逆回転-グルタミン酸(アスパラギン酸)放出というカスケードを明らかにした(投稿中)。
後シナプス作用:BDNFの刺激によりNMDA受容体のリン酸化とNMDA電流の増加が観察されたが、この細胞内メカニズムとしてチロシンキナーゼであるFynの関与見い出した(SFN発表)。
慢性作用
前シナプス作用:BDNFは小胞性モノアミン輸送体および小胞性アセチルコリン輸送体mRNA発現を上昇させた(投稿準備中)。
後シナプス作用:BDNFはAMPA型グルタミン酸受容体の蛋白レベルを上昇させ、AMPA電流の増加を引き起こすが、同時にこの受容体に結合するPDZ蛋白のレベルも増加させた(投稿準備中)。
以上のようにBDNFは中枢ニューロンに幅広いタイムウインドウで作用し、シナプス伝達の調節を行っていることが明らかになった。本研究ではさらにそれらの現象の分子基盤の一端を、とくに前シナプスメカニズムにおいて解明することができた。今後さらにこの研究を展開しシナプス可塑性の解明にせまりたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Numakawa,T.: "BDNF-elicited short-term glutamate release from cultured cerebellar Granule neurons."Brain Res.. 842. 431-418 (1999)

  • [文献書誌] Takei,N.: "BDNF and NT-3 but not CNTF counteract Ca2+ionophore-induced apoptosis Of cultured cortical neurons : Involvement of dual pathways."Neuropharmacology. 38. 283-288 (1999)

  • [文献書誌] Xiong,H.: "Regulation of nerve growth factor release by nitric oxide through cGMP pathway in cortical glial cells"Mol.Pharm.. 56. 339-347 (1999)

  • [文献書誌] Numakawa,T.: "BDNF induces aspartate release from cultured cerebellar granule Neurons"Neurosci.Res.. 37. 59-65 (2000)

  • [文献書誌] Takei,N.: "Pituitary adenylate cyclase activating polypeptide promotes the survival of basal forebrain cholinergic neurons in vivo and in vitro"Eur.J.Neurosci.. 12. 2273-2280 (2000)

  • [文献書誌] 武井延之: "ニューロトロフィンによる神経伝達調節の分子基盤"神経進歩. 44. 381-391 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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