研究概要 |
内因性アルデヒド化合物であり、ドパミン(DA)の最初の代謝産物である3,4-dihydroxyphenylacetaldeyde(DOPALD)のDA遊離に及ぼす影響について、PC12細胞を用いて検討した。DOPALDの合成はアドレナリンを酸化し、シリカゲルカラムにより精製する事により行い、HPLCおよび2,4-dinitrophenylhydrazineを用いた吸光度法により純度の確認を行った。得られた結果は以下の通りである。 (1)用いたPC12細胞は、外液中のKClの濃度に比例してDAの遊離を促進し、nicotineに対しても反応性を有していた。(2)PC12細胞からのDA遊離に対してDOPALDは用量依存的な促進作用を示した。(3)同様の内因性のアルデヒドである4-Hydoxy nonenalをPC12細胞に添加したが、DA遊離促進作用は認められなかった。(4)DOPALDはPC12細胞への[^3H]DAの取り込みに影響を及ぼさなかった。(5)10μMまでのDOPALDの添加は、PC12細胞からのLDHの漏出に影響を及ぼさなかった。(6)KClによるPC12細胞からのDA遊離促進は、細胞外液からのCa^<2+>の除去およびL-型Caチャンネル拮抗薬であるNifedipineの添加により有意に抑制されたが、DOPALDによるDAの遊離促進は、Ca^<2+>の除去およびNifedipineの添加によっても抑制されなかった。 以上の結果より、PC12細胞からのDOPALDによるDA遊離促進作用は、アルデヒド化合物による非特異的な作用ではないこと、またCa^<2+>非依存性の機序により誘発されもるのと考えられる。
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