研究概要 |
PC12h細胞をニコチン刺激刺激したときのp42/44MAP Kinase(ERK)リン酸化経路とCREBリン酸化経路をウエスタンブロット法で解析した。細胞をニコチン刺激するとニコチン濃度依存的にERKリン酸化が検出された。ニコチン刺激によるERKリン酸化は高カリウム脱分極、NGF刺激に比べ持続時間が短く、リン酸化レベルも低かった。ニコチン刺激によるERKリン酸化は、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の阻害剤の中で、α7タイプに特異的な阻害剤によりほとんど抑制されなかった。電位依存性L型カルシウムチャネルアンタゴニストはニコチンによるERKリン酸化を完全に抑制した。ニコチン刺激によるカルシウムシグナリングとERKリン酸化の関係を明らかにするために、ニコチン刺激によるERKリン酸化に対するカルモジュリンアンタゴニストW7とCaM Kinase阻害剤KN93の影響を調べたところ、両阻害剤共にニコチンによるERKリン酸化を阻害した。一方、ニコチンによるCREBリン酸化に対するニコチン、高カリウム脱分極、NGF刺激の影響を調べたところERKリン酸と類似したtime courseをとることが明らかになった。さらに、ニコチンによるCREBリン酸化はMAP Kinase Kinaseの阻害剤、W7,KN93によって抑制された。以上の結果からPC12h細胞をニコチン刺激したときにみられるERKとCREBのリン酸化経路として次の経路が考えられる。非α7型nAChR→L型電位依存性カルシウムチャネル→CaM Kinase→Ras-MAP Kinaseカスケード→ERKリン酸化→CREBリン酸化。
|