研究概要 |
GABA(γーaminobutyric acid)は中枢において最も重要な抑制性神経伝達物質であり、その受容体にはイオンチャネル型GABA-A、ならびにG蛋白共役型のGABA-B受容体が存在する。GABA-B受容体の一つ、GABA-B1Rは1997年クローニングが行われ(Nature 1997,386:239-),クローン化受容体遺伝子を用いた発現実験がすすむかに思われたが、クローン化GABA-BRの機能解析が進められないことが判明した。 申請者は以前、rat小脳 mRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入するとGABA-BRが細胞膜に発現し、受容体の機能的アッセイが可能であることを2つのシグナル経路の活性化を指標として証明した。本研究の研究は、このGABA-BR機能的アッセイ系を用いて、GABA-BRの細胞膜への発現を促す因子をクローニングすることであった。さらにその因子を同定した後は、その因子とGABA-B1Rとを共発現させ、GABA-BRの薬学的特性を分子レベルで明らかにすることであった。 しかし1998年末、GABA-B1Rの細胞膜への発現にはGABA-BRのサブタイプ、GABA-B2Rが必要であることが判明し(Nature 1998,396:683-)、GABA-BRはG蛋白共役型受容体のなかで初めてヘテロダイマーとして機能することが示された。 申請者らは、研究途上にあったGABA-B1Rの細胞膜発現因子のクローニングを中止し、代わりにクローン化されたGABA-B2Rを用いて、卵母細胞発現系におけるGABA-BRの薬理学的性質を検討した。現在までの研究において、GABA-B受容体はGABA-B1R、GABA-B2Rを共発現させた時にのみGABA-Bアゴニストによる反応が見られることがわかった。すなわち、GABA-B受容体はGABA-1RおよびGABA-2Rのダイマーで機能的受容体を形成することがわかった。今後はGABAーB受容体がヘテロダイマーをとるプロセス、ならびにヘテロダイマーを形成した後のシグナルを伝えるメカニズムについて、さらに詳しく解析してく予定である。
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