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2000 年度 実績報告書

ミクログリア特異的カルシウム結合たんぱく質Iba1の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 11680775
研究機関国立精神・神経センター

研究代表者

今井 嘉紀  国立精神・神経センター, 代謝研究部, 室長 (20270689)

キーワードIba1 / カルシウム / ミクログリア / マクロファージ / アクチン / Rac / ラッフリング / 貪食
研究概要

我々は、脳内ではミクログリアに特異的に発現するカルシウム結合たんぱく質Iba1を見出し、Iba1の発現が活性化ミクログリアで上昇することを示した。さらに、Iba1が単量体Gたんぱく質Racのシグナル伝達系で機能すること、アクチン細胞骨格の構造制御を通じて活性化ミクログリアの遊走能・貪食能に関わっていることを明らかとした。ミクログリア細胞株MG5を用いIba1の細胞内局在を調べると、Iba1はM-CSF刺激下に形成される膜ラッフル部位に、あるいはザイモサン貪食時に形成されるファゴサイティックカップにRac・F-アクチンと共に集積していた。そこで、変異体Iba1を作成し、MG5で発現させた。野生型Iba1を発現させたMG5はM-CSF刺激下に膜ラッフルを形成し、また正常な貪食を示したのに対し、N末端、C末端欠損変異体、カルシウム結合領域の変異体Iba1を発現させると、膜ラッフル形成・貪食が抑制された。さらに、MG5をM-CSF・ザイモサンで刺激するとRacが活性化されGTP結合型Racに転換されることも示した。ドミナントアクティブ型RacをMG5に発現させると膜ラッフルが形成されるが、同時にC末端欠損Iba1変異体を発現させると、膜ラッフル形成が抑制された。従来、チロシンキナーゼ型受容体からはPI3キナーゼを介するRacの活性化経路が知られている。さらに詳細に解析を加えたところ、Iba1存在下ではPI3キナーゼに加えてホスホリパーゼCγを介してもRacが活性化される新規のシグナル系が機能することがわかった。以上の結果はIba1がRacシグナル系に関与してアクチン細胞骨格の機能を調節する分子であることを強く示唆する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Honda,S.: "Rat primary curtured microglia express glial cell line-derived neurotrophic factor receptors."Neurosci.Lett.. 275. 203-206 (1999)

  • [文献書誌] Mizuno,T.: "Neuronal adhesion molecule telencephalin induces rapid cell spreading of microglia."Brain Res.. 849. 58-66 (1999)

  • [文献書誌] Tanaka,F.: "Association of osteopontin with ischemic axonal death in periventricular leukomalacia."Acta Neuropathol.. 100. 69-74 (2000)

  • [文献書誌] Ohsawa,K.: "Involvement of Iba1 in membrane ruffling and phagocytosis of macrophages/microglia."J.Cell Sci.. 113. 3073-3084 (2000)

  • [文献書誌] Mori,I.: "Upregulated expression of Iba1 molecules in the central nervous system of mice in response to neurovirlent influenza A virus infection."Microbiol.Immunol.. 44. 729-735 (2000)

  • [文献書誌] Dreier,J.P.: "Products of hemolysis in the subarachnoid space inducing spreading ischemia in the cortex and focal necrosis in rats : a model for delayed ischemic neurological deficits after subarachnoid hemorrhage?"J.Neurosurg.. 93. 658-666 (2000)

  • [文献書誌] Honda,S.: "Extracellular ATP or ADP induces chemotaxis of cultured microglia through Gi/o-coupled P2Y receptors."J.Neurosci.. (in press). (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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