研究課題/領域番号 |
11680782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
深間内 文彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90240746)
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研究分担者 |
渡辺 和忠 東京都老人総合研究所, 細胞認識部門, 室長 (70114717)
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | TAG-1 / 細胞接着分子 / 標的遺伝子組換え / ノックアウトマウス / 脳神経細胞 / 免疫グロブリンスーパーファミリー / アデノシン |
研究概要 |
脳神経系における細胞接着分子、特にTAG-1を代表とする免疫グロブリンスーパーファミリーの発現は、脳の発生と分化の過程で重要な役割を担っている。TAG-1は、脳神経系に特異的に発現している分子であり、他の分子との情報伝達を介して、神経軸索のガイダンスの役割を果たし、神経細胞のネットワークの構築に関与していると考えられる。しかし、TAG-1は他の接着分子、細胞外マトリックス分子、成長因子などと結合することは報告されているものの情報伝達機構については、ほとんど明らかにされていない。申請者らは、標的遺伝子組換え法により、TAG-1遺伝子の第2〜5エクソンを欠失させたノックアウトマウスを作製した。得られたTAG-1遺伝子ノックアウトマウスは出生時には野生型マウスと比較して外観、行動において著変は認められなかった。正常な脳においてTAG-1遺伝子が強く発現している大脳皮質、海馬、脊髄などを中心に組織学的解析をおこなったが、TAG-1遺伝子ノックアウトマウスの脳の組織の構築に異常は認められなかった。ところが、[^3H]cyclopentyl-1,3-dipropylxanthineをリガンドとした脳内アデノシン受容体の分布をオートラジオグラフィーで解析したところ、野生型マウスに比較して、海馬においてアデノシン受容体数の増加が認められた。さらに、このTAG-1遺伝子ノックアウトマウスはペンチレンテトラゾールやカイニン酸などの痙攣誘発剤に対して、野生型マウスに比較して痙攣閾値が低下しており、より重篤な痙攣状態を呈することがわかった。従来より脳内アデノシンと痙攣発作との関連については指摘されており、TAG-1遺伝子との直接的な関わりは不明であるが、胎生期海馬における神経回路網の可塑性に関連した結果ではないかと推察し、さらにin vitroでの解析を進めている。
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