研究概要 |
モルモットの聴覚皮質の機能をより深く調べるため、今年度は、光学的計測法によるモルモット聴覚野の中心領域および周辺領域での機能的解析を行った。特に、音刺激の方向に依存した活動を聴覚皮質の各領域で解析した。その後、多電極相関法により各領域の皮質活動の相互相関を調べた。オプティカルイメージングにより、モルモット聴覚皮質には、一次聴覚野(AI)と二次聴覚野(AII)の中心領域が従来どおり観察され、その周辺に6つの応答の時間経過が異なった周辺領域(the posterior(P),ventroposterior(VP),dorsoanterior(DA),dorsal(D),dorsoposterior(DP),and ventroanterior(VA)fields)が観察された。特に、中心領域の尾側にあるP野、VP野では、持続時間の長い応答を示し、両耳刺激や同側方向からの音刺激で応答が消失した。この結果は、AI、AII野より音の方向に敏感であることを示し、方向知覚に何らかの役割を果たしているものと考えられる。それらの結果に基づき、各領域に4本の電極を挿入し、音源を水平方向に動物を中心に同側から正面、対側まで30度毎に位置を変化させ、音刺激時の相関と自発放電時の相関を測定した。その結果、対側方向の音に対して強い応答が示す傾向が観察された。しかし、方向特異性的に活動するニューロンは観察されなかった。また、周辺領域の自発放電の相関は中心領域より強い傾向が見られ、電極間距離約900μmのところに第2のピークが観察された。さらにその回路網をしらべるため、パッチ電極法による解析を試みている。
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