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1999 年度 実績報告書

味覚嗜好性行動の発現における脳幹アセチルコリン神経系の関与

研究課題

研究課題/領域番号 11680787
研究機関大阪大学

研究代表者

志村 剛  大阪大学, 人間科学部, 講師 (80150332)

研究分担者 山本 隆  大阪大学, 人間科学部, 教授 (60028793)
キーワード味覚嗜好性 / アセチルコリン / 脚橋被蓋核 / ラット / ベンゾジアゼピン / 破壊実験
研究概要

1.脚橋被蓋核の味覚行動への関与を明らかにするため、ラットを用いて同部位を電気的に破壊し、味溶液の入ったボトルと蒸留水の入ったボトル計2本を48時間呈示して、ラットが自由に接取した味溶液と蒸留水の量を測定した。味溶液には4基本味である甘味、塩味、酸味、あるいは苦味を呈する化学物質を用い、それぞれ3種類の濃度でテストした。各種味溶液と、対にして与えた蒸留水との摂取量から、偽手術対照動物と実験群の味覚嗜好性を判断すると、対照動物が好んで接取する0.1Mショ糖溶液の摂取量が破壊動物では対照動物より有意に少ないことがわかった。これ以外の味溶液に対する嗜好性には、破壊群と対象群の差は見られなかった。また、味覚嗜好性を増強することが示唆されているベンゾジアゼピン作動薬を投与した場合にも、対象群ではもともと好まれる0.1Mショ糖溶液の摂取量が有意に増加したのに対し、破壊群では生理食塩水を投与した場合と同レベルの摂取量しか示さなかった。側坐核、分界条床核、腹側淡蒼球など脚橋被蓋核と線維連絡を持つ部位においても、同様の実験を行ったが、味覚嗜好性行動には顕著な影響は認められなかった。
2.脚橋被蓋核の細胞体が実際に上記の効果に関与しているか否かを確認するために、興奮性アミノ酸(NMDA)を同部位に微量注入し、より特異的な破壊を行って同様の行動実験を行った。組織学的に両側性の脚橋被蓋核破壊が確認された動物では、電気的破壊の場合と同様に、対照動物で見られる嗜好性の高い溶液に対する過剰摂取が障害された。
3.以上の結果と先行研究の知見を総合すると、脚橋被蓋核は、中脳腹側被蓋野と同様、嗜好性の認知というよりも、嗜好性に基づいて接取を促進する動機づけの過程に関与すると考えられる。今後は、脚橋被蓋核のアセチルコリン細胞がどの程度、この過程に関係しているかを解明していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 志村 剛: "脚橋被蓋核破壊による味覚嗜好性行動の障害"日本味と匂学会誌. 6・3. 657-660 (1999)

  • [文献書誌] 志村 剛: "おいしさ発現と野内物質:行動神経科学の立場から"日本味と匂学会誌. 7・1(印刷中). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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