1.まずin vitroサージジェネレーターモデルにおけるGnRHニューロン、バソプレッシンニューロンの形態学的解析を行った。その結果、GnRHサージジェネレーターの存在する視索前野領域と生物時計の存在部位である視交叉上核の共培養4週間においても、視雫前野の切片内に多数のGnRHニューロン細胞体を認め、その線維はネットワークを形成していた。一方、各種バソブレッシン抗体を用いたが、満足のいける染色性は得られなかった。また、単一GnRHニユーロンの活動を解析するために、Ds-RedでGnRHニューロンの標識を試みラットGnRH遺伝子のプロモーターをDs-Red発現ベクターに組み込んだが、GT1-7細胞株にトランスフェクションしても発現効率は極めて悪かった。 2.in vitroの視索前野+視交叉上核の共培養系を用いて、サージジェネレーターの活動を解析するために、視交叉上核を電気刺激し、膜電位の伝搬を計測したが、視交叉上核から視索前野の切片への電気刺激の伝搬は認められなかった。 3.急性切片を作成し、環流系にてGnRHの測定を行った。その結果、ビククリン投与により、GnRH分泌が顕著に刺激され、また、視交叉上核といっしょに視索前野の切片を環流すると、GnRHの分泌が認められた。 以上の結果から、in vitroサージジェネレーターモデルでは、液性情報によりGnRHの分泌が起こること、環流系の実験をするには、急性切片の方が適しているごとが示唆された。急性切片系において、GABAの抑制を解除することによりGnRHの分泌が起こること、視交叉上核からの液性情報により、GnRHの分泌が起こること、が示唆された。
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