研究課題/領域番号 |
11680791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小澤 一史 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60169290)
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研究分担者 |
有井 達夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10109267)
森田 規之 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50239662)
西 真弓 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (40295639)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 老化 / グルココルチコド受容体 / ステロイドホルモン / 免疫組織化学 / 超微細構造 / 超高圧電子顕微鏡 / 神経内分泌 / 神経伝達物質 |
研究概要 |
(1)老化に伴う脳の神経細胞でのグルココルチコイド受容体の発現変化 若い成熟ラットでは、GRは脳の広い領域の神経細胞で発現し、特に大脳皮質、海馬、視床下部、扁桃体などで強い免疫陽性反応を示すが、24ヶ月令の老齢ラットでは、いずれの領域においてもGRの発現が著明に低下することが明らかとなった。また、SRC-1などのステロイドホルモン受容体のco-factor群も同様に顕著な発現低下を示した。 (2)老化に伴う神経細胞の超微細構造変化 大脳皮質や海馬の錐体細胞(CAl領域)の微細構造を電子顕微鏡で観察すると、老齢ラットでは細胞体の萎縮、リポフスチン穎粒の増加、分泌小胞の減少、核の不整像などが観察され、樹状突起内の神経フィラメントの走行に乱れも観察された。超高圧電子顕微鏡を用いて三次元的に解析すると、老齢ラットにおいては、樹状突起では顕著は棘(spine)の数の減少や棘の変形像が観察された。このことは、神経伝達の場であるシナプス面の総面積の減少を意味し、神経伝達効率の減少を推測させる結果と考えられた。 (3)老化に伴う神経伝達物質や神経内分泌ホルモン等の発現変化 老化に伴う神経伝達物質や神経内分泌ホルモンなどの発現の変化を解析した。老齢ラットの脳においてはcholine acetyltransferase(ChAT),glutamate decarboxylase(GAD)の免疫反応性・免疫陽性細胞の数や染色性が顕著に低下する様子が観察された。一方、tyrosine hydroxylase(TH)では、免疫陽性細胞数の顕著な低下が観察された。視床下部下垂体後葉系ホルモンであるvasopressin、oxytocinについては、視床下部の室傍核(PVN)や視索上核(SON)における発現は老化に伴い顕著に低下することが明らかになった。 (4)視床下部一下垂体前葉系の調節機構と老化の関連性 下垂体前葉ホルモンのグルココルチコイドによる分泌調節機構について解析をおこなった。FS細胞においてはグルココルチコイドがカルシウム結合蛋白の一つであるannexi-1(or lipocortin-1)の発現をGRを介して制御していることが明らかとなり、amexin-1による下垂体申でのparacrine的ホルモン分泌調節の可能性が示唆されつつある。これらの制御機構が老化によってどのように変化するか、現在引き続き解析を進行している。
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