研究概要 |
本年度はギャップ結合を構成しているチャネル蛋白質であるコネキシン・ファミリーの内、ニューロンに特異的と考えられるコネキシン36について、アミノ酸配列の解析および抗体の作製を行った。Wister系白色ラット網膜組織で発現しているコネキシンをコードするmRNAをRT-PCR法を用いてクローニングした。脳内ニューロンのギャップ結合チャネル蛋白コネキシン36(Condorelli et al., Eur. J. Neurosci. 10(3):1202-1208,1998)のcDNAの一部をプライマーとしてラット網膜組織のmRNAをRT-PCR法で解析した結果、用いたcDNAプライマーに対して特異的なRCR産物を得た。脳コネキシン36プライマーに対するPCR産物を精製し、pGEM-T Easy VectorにT/Aクローニングを実施した。組み換え完了後のvectorを検体とし、vector由来のユニバーサルプライマーを用いて、二重鎖DNAの両側よりsequenceを実施した。得られたDNA塩基配列を基に両側よりprimer walking法により塩基配列の全長を決定した。その結果、これまでに報告された脳内ニューロンのコネキシン36と同一のコネキシン36がWister系白色ラットの網膜ニューロンから得られた。 次にコネキシン36の321個のアミノ酸配列から合成ペプチドを作製して、それに対する抗体を作製した。作製・精製した合成ペプチドをキーホルリンペットヘモシアニンと結合させ、これを抗原としてウサギに6回ブーストした後、血清を採取した。抗血清をELISA法で抗体価を検定した後、抗体を合成ペプチドを用いたアフィニテイーカラムで精製した。Western blot法による解析から、成熟ラットの嗅球と生後直後の幼弱ラットの大脳皮質で分子量30kDa付近の抗体陽性の特異バンドを検出した。
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