研究概要 |
大脳皮質錐体細胞からの細胞内記録・染色をIn VivoおよびIn Vitro標本で行い、さらに順行性標識を組み合わせて小脳性、大脳基底核性入力の大脳皮質細胞での相互作用の解析を試みた。現在ネコの入手が困難になりつつあるが、ラットの全脳標本では刺激電極、記録電極の配置の問題もあり、現在の装置では2つのニューロンからの同時記録が容易ではなく装置の改良が必要となる。そこで本年度も主にネコで小脳核・大脳基底核刺激の皮質レベルでの効果を相互比較を行った。ネコの大脳皮質運動野外側部と内側部の同時記録により小脳性入力が外側部に強力であり、基底核出力の影響ははっきりとはしないが脱抑制を思わせる結果も取得している。同時記録での細胞の保持が難しく、記録方法の改良も今後さらに工夫する必要がある。記録細胞は、HRP・biocytinの細胞内注入による形態学的解析を行っているが、今後その数を増やしてゆく予定である。昨年度の経験から記録細胞を皮質内第V層の速錐体路細胞と遅錐体路細胞の2種に絞り、同時記録にも今後力を入れてゆく予定である。一部サルを用いた実験も開始し、小脳性入力の大脳皮質運動関連領野での実験結果を3月にシンポジュウムで発表予定である。また関連研究として、ネコの運動野の錐体細胞のスライス標本でのシナプス入力に対する興奮性の解析(Brain Res.,846)、顔面神経核細胞の興奮性の研究(Neurosci.Res.)、ラット脳幹細胞の興奮性解析や内障(Claustrum)の線維結合などの知見を報告した(Neurosci.Res.)。また、ラット、サルでの基底核を中心とした線維結合の所見を学会誌に報告した(J.Neurol.,247;Brain & Develop.,22;Brain Res.,872)。
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