昨年度我々は、STOCsがlarge conductance Ca^<2+>-activate K^+ channel(BKチャネル)の活性化によることを示唆していた。本年度はinside-out様式のsingle channel recordingにより、82〜352pSのCa^<2+>依存性single channel K^+電流が記録されたことから、海馬歯状回顆粒細胞にBKチャネルが存在することを確認した。Cell-attached patch記録法にて、このBKチャネル電流がノシセプチンによりmodulateされるか否か検討したが、残念ながらSTOCsに相当すると思われる変化は見られなかった。これはSTOCsが発生する場所がランダムであり、一箇所でのSTOCs発生は頻度的に少ないと考えられ、電極をSTOCsが発生する場所に正しく配置することが不可能であったことに起因すると考えられた。また、BAPTA-AM処置により細胞内Ca^<2+>をキレートするとノシセプチンの誘発するSTOCsが抑制され、BAPTA-AM前処置はノシセプチンのSTOCs誘発を阻害した。さらに、ノシセプチン誘発STOCsはイベリアトキシンにより抑制された。以上より一過性のBKチャネル活性化によりSTOCsが発生することが証明された。 キサンチン誘導体であるテオフィリンはノシセプチンと同様にSTOCsを惹起した。テオフィリン誘発STOCsの振幅、立ち上がり時間、1/2減少時間の累積頻度グラフはノシセプチンのそれと極めてよく一致した。このことから、ライアノジン感受性Ca^<2+>プールからの一過性Ca^<2+>遊離によりSTOCsが発生すると考えられる。しかし、STOCs発現のインターバルに関してはテオフィリンで短くなるのに対してノシセプチンではコントロールと変わらない例が観察され、ノシセプチンがBKチャネルを直接modulateする可能性も考えられた。
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