(1)共焦点レーザー顕微鏡によるCa^<2+>スパークの測定。急性単離中枢神経細胞におけるCa^<2+>スパークの測定には数々の問題点があることが判明した。測定には明るい色素の利用が望ましく、最近開発されたオレゴングリーン1および2、カルシウムグリーン1および2を選択し、基礎検討を行ったが、安定したCa^<2+>濃度変化の測定は困難であった。最終的に、Fluo3もしくはFluo4の方がより良いことが判明した。高速レーザースキャンでは、いずれの蛍光色素でも蛍光値が低く、Ca^<2+>スパークのノイズからの分離は困難であった。フォトマルの暗電流に起因するノイズのほか、測定機器が発するノイズの低減も重要と思われる。STOCsは軸索のほとんどない細胞でも記録されるため、主として細胞体においてCa^<2+>スパークを測定したが、ドライ40倍対物レンズでは鮮明な像の取得を困難であり、ドライ20倍レンズでは共焦点性が失われ、細胞体のバックグラウンドシグナルからCa^<2+>スパークを分離することができなかった。今後、明るく高倍率の水浸レンズを使用し、チャンバーの工夫やヒーターの設置などの改善により急性単離中枢神経細胞においてもCa^<2+>スパークが記録できると思われる。 (2)ノシセプチン受容体ノックアウトマウスを用いた検討。ワイルドタイプと同様にノシセプチンによりSTOCsの誘発が見られた。このSTOCs誘発は[Phe^1ψ(CH_2-NH)Gly^2]]ノシセプチン(1-13)NH_2 3μMにより抑制されたことからノシセプチン受容体を介すると思われる。[Phe^1ψ(CH_2-NH)Gly^2]]ノシセプチン(1-13)NH_2はノシセプチン受容体アンタゴニストとであるが、中枢神経においてはアゴニストであるとする報告もあることを考慮すると、ノシセプチン受容体にサブタイプが存在する可能性も考えられた。
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