研究概要 |
本研究は,発症までの潜伏期間が短く,正常型プリオンタンパク(PrPc)の異常化のキーポイントになると考えられるPrPc-感染型プリオンタンパク(PrPsc)分子間相互作用を可視化できるヒトプリオン感受性モデルマウスの確立を目的とし、今年度は、オワンクラゲ由来の蛍光タンパク(Fluorescent Protein, FP)-マウス/ヒトキメラ型PrPc融合遺伝子を導入したマウスの作成を計画した。 1.FP-マウス/ヒトキメラ型PrPc融合導入遺伝子の構築:マウスのプリオンに近い形でプロセシングされGPIアンカーリングを受けられる事を考慮し、以下の如く導入遺伝子を作製した。129SVマウス由来promoterの下流にI/Lnマウス由来の5'UTR(exon1,およびintron1,exon2,intron2を含む),そして129SVマウス由来のORFを含むexon3からなり,PrPcをコードするORFは,シグナルペプチドを含むN-未端,および,GPIアンカーが結合するC-未端は129SVマウス由来のものを用い,その間にFP-ヒト由来PrPcを配置した。FPとしては,EBFPおよびEGFP,EYFPなどの蛍光波長の異なるものを用いた。 2.遺伝子導入マウスの作成と系統化:作製完了した導入遺伝子から順に,常法に従って遺伝子導入マウスを作成しており,来年度も継続する予定である。また,各々の導入遺伝子に関してコピー数の異なる系統を選択,mRNAやタンパクレベルでの発現を確認して系統化した後,融合遺伝子のFPを指標に個体内でのPrPcのプロセシングや局在性の解析を計画している。
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